医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第7回 医材調達の実態を踏まえた物流情報の重要性とこれから

上塚:ITEC病院運営研究会では病院経営で今後課題になるであろう「GS1を活用した医療材料のマネジメント」をテーマに様々な有識者からお話しをいただいています。本日は国立国際医療研究センターの斎藤先生にお越しいただきました。
私も前職の東京女子医科大学の経験から、医療材料の購買は非常に難しいテーマということ良く承知していました。また、東京女子医大で毎年行っていた医療材料マネジメント研究会に、いつも斎藤さんに出ていただきました。医療材料の購買・購入を考える時、先ずマスターがしっかりしてないと、どのような医療材料をいくらで購入したのかということが見えてきません。
昨今はRFID、バーコード等のITのツールの利用も、医療材料の検収から始まり、マスターの整備に活用できるのではないかと思っています。
そこで本日は、「医療材料の調達」と「GS1バーコードの活用」についてお話をお聞きできればと思います。どうぞよろしくお願いします。

国立国際医療研究センター 事務局 総務課 調達企画室長 斎藤 知二氏

斎藤:私は、国際医療福祉大学のセミナーに参加したのがきっかけで、上塚先生や武藤先生に出会い、東京女子医科大学の医療材料マネジメント研究会に参加させていただくようになりました。
先ず、私個人の医療材料との出会いは、約26年前に初めて国立国際医療センター(当時)の用度課の担当になったのが始まりです。その時は補給係という呼称で、インターネットも無かったので全く情報がない状況で購買をしており、この診療材料をいくらで購入するのが良いのか全く分かりませんでした。
当時の国立国際医療センターでは、医療材料を恐らく民間医療機関の3倍の値段で購入していたと思います。
医療材料の購買コストはかかるし、院内にも医療材料が多数あり、どれだけ量を購入すれば良いのか解らない。看護師さんに聞けば、「材料は多い方が良くて直ぐ棚にある方が良い」と言われ、在庫管理に頭を抱えていまいた。丁度そのころSPDというのが、世の中に普及し始めたところでした。国立病院の中では、比較的早めに国際医療センターのSPD化は進んだと思います。

当時私は、SPDというシステムがあるのを聞いていましたが、国立病院の中では全く導入されておりませんでした。また国際医療センターの中でも、そもそもSPDという言葉をほとんど誰も知らなかったのですが、私からSPDの導入を発議したところ幸いにも院内の皆さんのご理解とご協力を得て、導入することになりました。
その後、関東信越地域や全国の他の国立病院にも普及しますが、きっかけは国立国際医療センターのSPD導入と思っています。
それでは、本日のテーマである「医材調達の実態を踏まえた物流情報の重要性とこれから」のお話をさせていただきます。

先ず、本年(2021年)4月「医療材料マネジメント研究会」の第24回シンポジウムで、2020年に発生したマスク不足について「コロナ危機 その時、病院、政府、メーカー、ディーラーは何をしたのか」というテーマで発表がありました。この時の演者は、中央省庁から1名、医療機関は私を含め2名、卸業1名とメーカー1名で行いました。
賛否両論あると思いますが、彼らの講演の趣旨がこちらのスライドです。病院①が、私です。

出典:国立国際医療研究センター 斎藤様

病院①(講演2)
「そもそも、情報が無くて分からないこと自体が問題であり、普段は通常使用ができ、緊急時にも活用できる、物流情報が活用できるような体制を平時から使用可能な状態にしておく必要がある」

病院②(講演3)
「ディスポ製品だけだと厳しいので、一部リユースの商品も使用してリスクヘッジした方が良い」

卸会社(講演4)
「結局、卸やメーカーだけではなく、自治体や医療機関も在庫を持っていただきたい」

メーカー(講演5)
「様々な商品を取り扱っておりますので購入して下さい」

中央省庁(講演1)
「物流の情報だけだと機能しないので病院の情報を連携できるように、医療機関等情報支援システムG-MISを作った。この活用がうまくいっていれば、問題は解決している」

シンポジウムのアンケート結果では、興味を持たれたテーマとして「物流、トレーサビリティ、データ、在庫管理」などが多く、私の講演は大変光栄なことに全体の45%の方にご興味を示されました。
在庫管理、トレーサビリティは、医療機関の方も関心がありますし、業界の方もあると思います。

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