医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第6回 医療材料管理におけるGS1バーコードの活用を通じた購買マネジメント、及びトレーサビリティの実現に向けた取り組み

上塚:ITEC病院運営研究会では、医療材料管理に於けるGS1活用をテーマにこれまで、様々な有識者の方にお話しをお聞きいたしました。
本日は、サクラグローバルホールディング株式会社会長、GS1ヘルスケアジャパン協議会の副会長の松本謙一様をお迎えし、お話をお聞きしたいと思います。合わせてサクラ精機株式会社として取り組んでいらっしゃることもお話をお聞きできればと思います。

サクラグローバルホールディング株式会社 会長 松本 謙一氏

松本:初めに、本日は私の他3名のスタッフでお伺いしましたので、ご紹介いたします。
先ず、長谷川フジ子さんは、現在、GS1ヘルスケアジャパン協議会の企画・広報推進部会副主査の立場として詳しいところもございますし、薬剤師(薬学博士)として、医薬品4大流通卸の情報関連部門に在籍した立場からも、医薬品、医療機器、と幅広い知見を有しています。
それから私の隣の西村裕之は、サクラファインテックジャパンの薬事法制室且つ医機連UDI委員でもあります。そして三浦寿朗は、サクラ精機のシステム部門スタッフとして、近年病院内のスマート手術室、スマートホスピタルなどと言われる中にあってスマート中央材料部というような呼称で、日本のみならず中国でもコンセプトが求められ現実化しつつある現状に対処しております。追って充実した各論が披露されると思います。

それでは、先ず私からこれまでの取り組みについて、少しお話させていただきます。
今から約10年前の2010年にGS1ヘルスケアジャパン協議会設立にあたり、当時NTT東日本関東病院の院長先生であった落合先生に出会いまして、ご支援をいただくことになりました。
私はそのときにGS1ヘルスケアジャパン協議会の副会長に就任させていただいており、現在に至っています。
それを遡る1990年(平成2年)にJ-MENET(業界全国統一VANシステム)がスタートし、お手元の資料の薬事ハンドブックにあるように医療機器業界の生き残り戦略として、1994年(平成6年)の2月からサービスが開始されました。業界版J-MENETは医療機関・流通業者・メーカーの3者を結んで受発注業務など、業界統一伝票の採用や共通商品コード、バーコードを目指して立ち上げました。

1994年 薬事ハンドブック

東京都と国から3000万円ぐらいの補助金で、立ち上がったところで様々な壁にもぶつかりまして、これが今日のMDネット等に変わってきております。
また落合先生、長谷川さんなどが書かれた2012年4月9日~13日までのトルコの視察レポートもございますが、ノバルティス社のトルコ工場の先進的な取り組みが世界中で群を抜いていると聞き、実際の工場をこの目で確かめたときの驚きは今でも忘れません。
今思い起こしてみても、着眼点は、日本の方が早かったのですが異業種の参入とか、あるいは輸入企業の活躍とか様々なことが入り混じって、今日に至ったのかと思っております。

関:厚生労働省からの資料を拝見する中でGS1トレーサビリティに関わることですが、他国と比べての普及についての課題はどこにあると考えられますか。

サクラグローバルホールディング株式会社  会長付学術顧問、 GS1ヘルスケアジャパン協議会  企画・広報推進部会 副主査 長谷川 フジ子氏

長谷川:まず、医薬品に関してお話させていただきます。先ほどの会長のお話に少し補足する形になりますとトルコは今でも、GS1バーコードを活用したトレーサビリティシステムが非常に進んでいることは確かです。これは国が主導して仕組みを構築し、その運用は国全体をカバーしています。ただ、日本の場合は主に医療安全が出発点となっていますが、トルコでは非常に偽造薬や不正流通が多かったのですね。そのためトレーサビリティとして偽造薬防止を是が非でも行わないといけない背景がありました。
日本では、医薬品の取り間違い防止とトレーサビリティの確保の観点から、GS1バーコードの表示の通知(通知では新バーコードと表記)がまず2006年に医療用医薬品から始まりまして、いくつかの通知の改定を経て、今15年が立ちました。医療機器の方も徐々に普及してきているという状況です。
2007年から海外調査で欧米やアジアでの医療情報システムを視察し勉強するといった機会が何度かありました。その経験から申し上げますと、日本では、GS1バーコードの利活用に関しては現場に任せるというスタンスですが、例えばイギリスでは、国が関わりGS1バーコードの利活用の方向性を示すビジョンを明確に描いていました。大変イメージしやすいと思いました。また、表示に関しても標準仕様を示して推進していました。
また、日本の医薬品の表示媒体はバーコードですが、海外ではデータマトリックスという二次元バーコードを使用しています。そちらの方が、かなり小さなスペースでも表示可能です。グローバルな観点からも、日本の医療用医薬品に関して言えばその点は改善すべきことだと思います。
その他にも課題はいくつかありますが、GS1バーコードに纏わる運用に関して、昨年から潮目が変わってきました。薬機法の改正により、今年の8月から医薬品等の添付文書の電子化が施行されます。そして医薬品の容器の被包に表示されるバーコードが、GS1バーコードに決まりましたので、今後、GS1バーコードを読み取ってPMDAにアクセスする環境が整い、GS1の普及が非常に加速していくと考えています。

出典:厚生労働省

出典:厚生労働省

出典:厚生労働省

また、トレーサビリティの向上のため、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務化が来年(2022年)の12月1日より施行されます。こうした2つの義務化が、病院経営の安全面や効率化にどのような変化をもたらすのか私は非常に注目をしております。
医療機器の運用に関しては西村さんにお願いします。

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