医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第3回 医療トレーサビリティー対談

:医療のサステナビリティ―について第一回では、医療材料マネジメントの分野における標準マスターの重要性について、第二回では医療トレーサビリティーやGS1コードについてお話をお聞きしました。本日は、第三回としてSPDをテーマに一般社団法人日本医療製品物流管理協議会(略称:日本SPD協議会)の菊地公明専務理事および、株式会社篠原出版新社編集長、井澤泰様にお聞きしたいと思います。上塚先生に座長をお願いしております。上塚先生よろしくお願いいたします。

座長 上塚 芳郎先生(前東京女子医科大学 教授)

上塚:日本SPD協議会の定義によりますと「SPDとは、病院が使用・消費する物品(医療材料を主として、医薬品、試薬、滅菌・再生品、手術器械・鋼製小物、ME機器、文具・日用雑貨、印刷物など)の選定、調達・購入方法の設定、発注から在庫・払出・使用・消費・補充に至る一連の物品の流れ(物流)、取引の流れ(商流)および情報の流れ(情流)を物品管理コンピュータ・システムを使い管理し、トレーサビリティーなど医療の安全性を確保するとともに、コスト削減、原価管理など病院経営改善・効率化に資するための「物品・物流管理システム」のことをいうとあります(図1)。

出典:日本SPD協議会の資料より引用

SPDにはいろいろな形態があり、私が以前勤めていた東京女子医大病院は「院内供給・購入業務委託・管理代行型(病院購入品)」という方式でした。すなわち、病院がディーラーと価格交渉した値段で、SPD業者が購入代行し、院外倉庫にいったん保管し、病棟別に区分けしたものを定数配置するように委託しているということです。世の中には、「院内供給・預託・業務委託・販売型(SPD業者預託品)」のようにSPD業者が院内倉庫に預託し、定数配置、消費後に物品の所有権が病院に移転する、という方式も多いと思います。どのような形態であろうとも、病院側として知りたいのは、使用している医療材料の把握、不動在庫品の把握、年間購入量、部署別消費把握、同種同効品の使用量把握、価格比較などの情報です。

出典:日本SPD協議会の資料より引用

第一回の対談では、私が病院経営の立場から、医療材料のマスター整備の重要性を述べましたが、医療材料マスターの整理は、病院自らの管理が困難なため、外部のSPD業者等に基礎的作業から、医療材料マスターの構築まで丸投げせざるを得ない病院が多いと思います。このマスターに、医療材料メーカーでは常識となっているGS1標識が利用できず病院では病院独自のマスターなどが使用されているのが現状です。GS1標識がもっと便利に利用できるようにするにはどのようにしたらよいかなどについて今日はお話をお伺いしたいと思います。まずはSPD協議会の歴史を教えていただけますでしょうか。

菊地: 日本SPD協議会の発足当初はモノの対価とサービスの対価を明確にするというのをテーマにSPD専業の方を中心に発足しました。その後大手医療機器販売業もSPD業務を始められて、加入するようになりました。(図3)

出典:日本SPD協議会の資料より引用

一般社団法人日本医療製品物流管理協議会 菊地 公明専務理事

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