医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第10回-1 単回医療機器再製造推進協議会共催座談会 前編(その1)医療機器と安全~データベースの重要性~

日程:2022年5月21日(土)10:00~
会場:日本橋ライフサイエンスビルディング

単回医療機器再製造推進協議会共催座談会
前編(その1)

参加者

関 丈太郎様 主催者(ITEC病院運営研究会 代表)
松本 謙一様 主催者(単回医療機器再製造推進協議会 理事長)

上塚 芳郎先生 座長・発表者(前東京女子医科大学教授、単回医療機器再製造推進協議会最高顧問)
武藤 正樹先生 発表者(前国際医療福祉大学教授、衣笠病院グループ相談役)
長谷川 フジ子様 発表者(GS1ヘルスケアジャパン協議会 企画・広報推進部会 副主査)
中井 清人様 発表者(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課課長)
高畑 正浩様(厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課課長補佐)

植村 康一様(一般財団法人流通システム開発センター ソリューション第1部 部長)
原山 秀一様(GS1ヘルスケアジャパン協議会 企画・広報推進部会 主査)
堤 要様(鈴与株式会社 取締役)

関:ITEC病院運営研究会では、およそ1年かけて院内の医療材料をいかにマネージメントしていくかに焦点を当て、有識者にお話をいただいてまいりました。
これまでの対談やインタビューは研究会のホームページに掲載していますが、今回はシリーズの最終回の様な位置づけとして、単回医療機器再製造推進協議会と共催で、医学会、行政、関係団体より専門家をお招きし、座談会形式でお話をお伺いすることになりました。
共催いただく単回医療機器再製造推進協議会を代表し、理事長の松本謙一様からも一言お願いいたします。

松本:本日は、単回医療機器再製造推進協議会の代表として参加させていただきました。どうぞ宜しくお願いします。
私どもが本業として手掛けるサクラ精機は、昨年150周年を迎えましたが、社史の編纂を通じて色々なことを振り返る機会ともなりました。
1911年(明治34年)に東京医科器械同業組合が設立され、私の祖父が初代理事長に就任しますが、1988年には私が同組合の12代理事長を拝命しました。その頃に、日本でバーコード等を用いた医療機器の「安全」への試みが始まります。当時の資料をみますと、現在と議論の骨子があまり変わっていないため、よく言えば先見の明があった、悪く言えば進歩していない、自戒も込めてその様なことを思いだします。
また、2007年に米国サンフランシスコの病院を訪れた際、当時の資料に電子タグやバーコード等を使用し、トレーサビリティに取り組む写真が出て参りました。日本ではかなり前から色々なことが行われてきた割には、この進みが遅い。
本日は、その様なことを踏まえながら、色々とご指導かたがたお話をいただきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

上塚:それでは、本日は私が座長とともに司会進行させていただきます。
今回は、4名の先生方にご参加をいただいております。
座談会の前に、各々の取組みについてお話いただきます。最初に武藤正樹先生から「医療機器の安全」について、次に長谷川フジ子先生から「GS1バーコードの普及と活動」、3番目に私、上塚芳郎より「単回医療機器の再製造」について、そして最後に厚生労働省の中井清人課長、高畑正浩課長補佐から「医療機器の安全とトレーサビリティ」と題してお話をいただきます。

それでは先ず、武藤先生宜しくお願いいたします。

武藤:本日、私からは、医療機器の安全とデータベースの重要性についてお話していきたいと思います。

こちらは、私が現在勤めています横須賀にある衣笠病院グループの全景です。

 

本日のテーマは二つです。第一は、「医療機器に問題があったのか。それとも、術者に問題があったのか」ということについてお話したいと思います。

第二は、米国のFDAの「デバイス・エクスペリエンス」という、MAUDE(マウド)というのですけど、マウディとも読みますが、このデータベースをご紹介していきたいと思います。

まず医療材料に問題があったのか、それか術者に問題があったのか、具体的な事故報告から見ていきたいと思います。

これは、名古屋大学の附属病院のトロッカー事故ですが、結論から言うと腹腔鏡下手術を行うときトロッカーを入れるのですが、その2本目のトロッカーで腹部大動脈を穿刺して患者さんが亡くなったという事故です。

鏡視下手術では何本かのトロッカー入れるのですけど、こちらが第1トロッカーで問題はありませんでした。

問題はこの第2トロッカーで、第2トロッカーというのは、安全シールドが付いているトロッカーです。

このトロッカーは先端が非常に鋭利で、腹腔を貫くときはこの安全シールドはないのが、腹腔を抜けるとこの安全シールドが自動的に下がり、周囲の組織を保護することになっています。

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