医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第1回 医療材料マネジメントによる医療安全とコスト管理

:課題の大きさが見えてきました。相当に根が深いように思いますが、日本ではどういった取り組みを今後の発展にあたっての参考とするべきでしょうか。

上塚:「トレーサビリティー」の点で先進的なモデルを紹介していきます。
NTT東日本関東病院では、手術で使用される鋼製小物にダイレクトマーキングを行って、何回滅菌したのかをトレースしています。この小さな場所にGS1が刻印されています。なぜ刻印するかというと、例えば、今までは鋼製小物が錆びてきたので廃棄しよう、などの目視に頼っていましたが、これからは10回滅菌したら捨てる、というようなことができます。何回使ったら廃棄するかの基準を持つことができるのです。

【図-8】

次に、東京医科大学がマスターの一元管理とともに、物流システムを改革した例となります。最近の病院は電子カルテが当たり前です。電子カルテは会計とは密接につながれていますが、手術室やカテーテル室などと、医療材料の在庫管理システム、そして会計が連動していないことは多く、使用された医療材料が正しくレセプト請求されないことが起こりえます。1本15万円もするカテーテルの請求漏れなど起これば大損害です。従って、病院間で電子カルテを介した連携を構築する上で、標準化コードであるGS1が有用になります。

京都第二赤十字病院が経営に活用している製品の識別を紹介します。同院では手術室の物品管理にバーコードを積極的に利用しています。納入業者に院内用シリアルバーコードを渡してGS1識別コードを紐づけるようなことをされています。

【図-9】

 

【図-10】

また高価な材料については、使用の際にラベルを読み取って、医療安全と在庫システムの二つと連動させています。これは医療材料のコスト管理にも有用です。このような先進例があり、多くの病院で進んでいくことを期待したいと感じています。

:本分野、まずは標準化ですが病院やグループの単位で進めていくにあたり、どこがポイントでしょうか。

上塚:前述の先進例からは明確な推進リーダーがいますが、事務職の意識が大切で期待したいところです。現状で困っていない状況ではそうした機運が上がってこないので、建て替えやIT更新のタイミングをうまく捉えることも重要でしょう。自治体病院の場合は短期間で人が異動してしまうので、購買のプロを育てるのが難しい環境です。いまはやりのジョブ型のように継続して取り組める職場環境も重要だと考えます。

:医薬品とは同じようにはいかない背景もよくわかりました。これから先生と共に掘り下げていければと思いますので、よろしくお願いいたします。

上塚:GS1の普及や標準化の取り組みは、コストマネジメントの観点からお話ししましたが、患者安全やトレーサビリティー、そしてマーケティングなど活用は多岐にわたります。ぜひ色々な方を巻き込んで標準化の普及に向けていくことが良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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