医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第1回 医療材料マネジメントによる医療安全とコスト管理

:GS1コードや標準マスターとはどういったものでしょうか?

上塚:スーパーやコンビニで使われているPOS(販売時点情報管理)のイメージから話をしましょう。 レジなどでバーコードを読み込む作業は、単に商品の販売実績や売り上げだけでなく、在庫管理や消費者の購買傾向、天候との関係などマーケティングにも活用されています。このベースになる商品を識別するバーコードを「GS1コード」と言います

【図-1】

【図-2】

 また、このバーコードは実際に商品を購入する小売店が異なっても、共通利用(標準化)によって流通全体のトレーサビリティーにも有効活用できます。医療では、そのための標準コードとして「GS1-128」が使用されています。図-3のように、GS1-128は商品の有効期限や製造ロット、シリアル番号の管理を行うことができます。

【図-3】

医療でも、医薬品にはすべて公定薬価があるためGS1コードの普及がいち早く進み、ほぼ100%の包装で印刷されています。一方、医療材料は今まで各病院独自の運用にあわせたローカルコードを必要としていました。償還価格がない「消耗品」と呼ばれる医療材料(たとえば三方活栓や点滴輸液セットなど)も多く、これらにはそもそもGS1コードがなかったり、マスターもいらないというような考えもあり、整備されてこなかった歴史もあります。
そして、SPD会社は医療材料だけでなく、文房具なども扱っており、これには標準マスターがありませんでした【図-4】。

【図-4】

さて、GS1コードを世界共通で使用するプラットフォームを「GTIN」といいます。13桁(GTIN-13)と14桁(GTIN-14)がよく使われますが、この【図-5】では13桁を例に出しています。

【図-5】

日本では、GTINをもとにJANコードが決められており、医療材料の標準マスターはMEDIS-DC(一般財団法人 医療情報システム開発センター)が提供しています。流通全体でこの標準マスターを使用することで、患者安全をはじめとするトレーサビリティーが実現します。
例えば、どの患者さんにいつペースメーカを埋め込んだのか、トレーサビリティーの大切さが想像できると思いますし、カテーテルなどは1本15万円以上もしますが、その請求漏れも防げます。いろんな面で肝心かなめの標準化コードとなりうるわけです。

【図-6】

:医療材料の標準化やトレーサビリティーへの活用は、海外ですとどの程度進んでいるのでしょうか。

上塚:米・欧どころか、台湾などアジアの他の国に比べて日本では標準化が遅れています。米国では医療材料をGPOという複数病院で集中購買する仕組みから集約化が進んでいました。そして、FDAでも2014年にUDI(製品識別)を義務化し、標準コードからデータベース登録、メーカー・卸・病院・薬局間のサプライチェーンにおける追跡管理ができるようにしたのです。

これに対し、日本では、
1.2000年ごろに標準コードへの取組みが始まるまで、個々の病院運用に併せたローカルコードが一般的であった。
2. 従来のローカルコードを標準コードに置き換えるには、コードの変換表の作成と切替えに膨大な費用と時間がかかる。
3.カスタム製品や預託品の管理など中間業者の介入が必要なアイテムについては、ディーラーやSPD業者でコードが異なる。

といった状況です。従来のローカルコードは病院の事務やSPD業者がラベルを貼る手間や、標準マスターと紐づける作業も大変です【図-7】。このようなことから、院内コードとJAN,GS1コードと紐づけるマスター変換テーブルもできていますが、病院職員など、人手での管理が入るため請求漏れも発生します。

【図-7】

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