医業経営の視点からみて

医療材料マネジメント

第4回 UDI活用の将来像、UDIに期待すること

上塚:本日は、京都第二赤十字病院の田中聖人先生をお迎えしています。私の左側に座っているのがアイテック株式会社の関社長です。

関:アイテック株式会社の関と申します。本日お忙しいところありがとうございます。よろしくお願いします。

左上:座長 上塚 芳郎先生(前東京女子医科大学 教授) 右上:ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(アイテック株式会社 代表取締役) 下:田中 聖人先生(京都第二赤十字病院 院長補佐・内科部長)

上塚:それから篠原出版新社の井澤さんも来ておりますのでよろしくお願いします。
実は1月からシリーズで、流通開発センター行っていたようなGS1とトレーサビリティーのテーマで対談を始めました。第2回目は、前NTT東日本関東病院の病院長の落合慈之先生と流通開発センターの植村康様に、GS1の基礎的なお話とかしていただきました。続いて第3回目は、SPDもトレーサビリティと関係しているため、日本SPD協議会の菊地公明専務に登壇していただきました。
今回は、田中先生にご参加いただき、手術室における医療材料管理、材料購入についてお話を伺えたらと思っております。よろしくお願いいたします。

田中:それでは、早速始めさせていただきます。表題としては、「UDI活用の将来像、UDIに期待すること」にさせていただきました。
前回の落合先生、植村さんからお話があったと思いますが、UDIって何かというようなことが、このスライド(図1)に記載されています。つまり、物の商標というものがUDIと呼ばれているものです。

まだ、EANとかJANコードと言う人がいる中で、GS1が一番標準化に適していると我々は思っています。UDIをどこまで使うかということから、お話をします。
GS1の中でもGTINと言われているものですね。物の認証を行うという行為に関しては、現在多くのソリューションがありますが、難しい仕組みとか、お金がかかる仕組みを作るよりは、GTINのみでの活用でも有効性は大きいと思います。

図-1

そのため、割り切りのようなものがあれば、世の中もっと素敵になると思っています。今我々の状況ですけれども、注射のアンプルについているバーコードを使って、一つ一つ認証する行為を行っています。

ドクターのオーダーに応じて、薬を看護師が、このバーコードリーダーで一つずつ間違いがないかをチェックしています。これはGS1でいうところの、17の有効期限とか、12のロットとか、そのようなものを全く使っていませんが、ここにありますように01で書かれているGTINだけでも医療安全には役に立っており、物を認証するためだけでも結構役に立つ使い方があります。

図-2

それ以前は、今ご覧いただいているとおり(図-2)、ボトルにバーコードが貼ってあり、それを認証します。このような話をするときにいつも言われるのが、「点滴に貼られているバーコードまで標準化すべきだ」ということを言う方が結構いらっしゃいますが、この資料で分かりますように、末梢静脈注射ルート1とか、RT3や2/2と記載されています。
これは体何かというと、数あるルートから何番目のルートであるかというところまで管理するものです。このように実務に使うバーコードを、GTINやGS1にするというのは、全くナンセンスなことですね。
このようなことを進めようとすると、自動認識が大事となってきます。単純にGS1を読み込むだけというのはあり得なくて、製品記録の省力化、これは物流に使う色々なやり方がありますけれども、省力化とともに、読み込みをしていただいている人々に何のメリットをもたらすかということですね。

即ち、読み込みをしているのは、多くは看護師さんです。看護師さんが、ピピッと読み込みましょうという気になってくれないと意味がありません。
そこで、記録という本来の目的のみに利用するだけでなく、バーコードを読む、或いはQRコードを読むとか、RFIDを読むとか、そのようなことに付加価値をつけられるかどうかというのが、重要なポイントになると思います。(図-3)

図-3

 

先ほどの注射認証の場合は、間違いをなくすという医療安全に繋がります。つまり、何らかの意味付けを持たせることが、自動認識を多くの職員に実施してもらう場合、重要だと思っています。

図-4

当院の場合、今はスマホを使用していますが、以前はPDFを使用していました。このスライド(図-4)のとおり、実施日、端末、IPアドレス、このIDとあるものは患者コードではなく処方コードを表しており、更にスタッフID即ち、どの看護師さんがどの患者さんに何をしたか、どのようなエラーが起きたかどうかというログが全部取れるようになっています。
このログが取れるということが非常に重要なところで、例えばエラーと出たとしても、実際間違って行ったということではなく、投与する前にエラーが出た場合、その投与を中止すれば良いわけです。
医療事故に繋がらないエラーのことを、我々はワーニングととらえて、医療事故を事前に防止するためのアラートにするということです。
それでは、どのようなデータが取れるかというと、このスライド(図-5)では、緑色が麻薬、黄色が混注チェック、赤色が総計です。

図-5

従って、エラーのログが取れることが大変重要で、例えば2011年の11月導入当初は、やはり戸惑いがあってエラーがすごく多かったですね。
それでも、その後エラー数がどんどん下がって、ランニングカーブとしてはだいたい2ヶ月ぐらいで、全ての看護師さんが慣れていただけたとうことがわかります。

次に内服薬にも、バーコードがたくさんついていますので、この内服薬でもバーコードを使った認証を要求する人がいますが、これはなかなか大変です。(図-6)

図-6

このアリセプトという薬は、10錠につき2個のバーコードがあります。一方このエパルレスタットという薬では、2錠に一つのバーコードがあり、更にこちらの薬では1錠に1個のバーコードが付いています。

このような薬のシートについては、製薬会社が悪いのではなくて、薬機法でものすごく表示が細かく規定されているためです。でも下の右下の薬、即ち1錠に1つのバーコードがついている薬などは、薬を飲むとバーコードが消えてしまうわけですね。
一方でアリセプトでは、7錠に1つバーコードがあるので、飲んでもわかりますが、このコードには、包装単位が表現できていません。
薬のバーコードも読み込むように要求する人もいますが、配薬はできますが、実際に薬を飲むかどうかは、患者に任されているので、内服薬まで注射と同じように読み込むというのはナンセンスなことだと思います。

つまり、どこまで何をやるのかを冷静に考えながら行うということが重要ですね。
一方で、シリンジポンプについて、テルモ社と一緒に我々が開発したものですが、シリンジポンプは通常、液の流量が変わると、その情報をテキストに出すことができます。この情報をライブラリー化し、患者の名前も一緒に記録できるようにしました。一人の患者に4、5台使用する場合、それらの情報が全て一緒に出力できるものを作りました。(図-7)

図-7

当院は、現在ICUでもオペ室でも、このようにプロポフォールという薬剤が何時何分にどのくらい投与されているかというデータも自動で記録されるようになっています。

これは単に省力化だけではなくて、何時何分に何をどのくらい投薬したかをタイムリーに記録することを機械と連動して行うことで、単に省力化だけではなく、正確な記録ができるという付加価値をつけるという形がないと、なかなかバーコードの活用が進みません。
このスライド(図-8)はICUの例ですが、重症病床でシリンジポンプからのデータが全部取れるようになっています。看護師さんも自分自身で書いたりしなくて良いので協力しますということになってきました。

図-8

この協力しますということが重要なところで、そこにどのようにもって行くかが大事であると思っています。

GTINのみでの運用例ですが、これだけあります(図-9)。つまり、注射剤の混注、薬品管理のフィリング。この薬剤のフィリングとは、薬剤部に膨大な薬品棚がありますが、その棚に薬剤が使用して足らなくなったら補充して行きますが、この際に間違った棚に補充してしまうと終わりなので、GTINを活用しています。これは在庫量の把握もできますので、正確な消費動向の把握にも繋がります。これら医療安全や運用支援やデータ分析に使うというように、何らかの付加価値をつけることが重要であるわけです。

図-9

一方、GS1というと、このスライド(図-10)のように沢山の情報がこれだけあります。例えばシリアル番号、製造年月日などもあります。

図-10

この中のAIというものがあり、人工知能という意味ではなく自動識別記号ですが、AI(10)はロット番号を表し、AI(17)は有効期限、AI(21)はシリアル番号を表しています。この有効期限をうまく使用できれば有用であることになります。

その事例ですが、当病院では、今ご覧いただいている動画(図-11)で、職員がバーコード2回読んでいるのが、ご覧いただけると思います。左・右と2回バーコードを読んでいますが、左側がインストアのピンク色のバーコード、右側がもともとのGS1です。
我々は、インストア病院で使うものは、この左側のピンク色のバーコードのみで使用し、一方製品の外部からの納品の段階でGSRと紐づけしてしまいます。このピンク色のバーコードは全部シリアルです。シリアルなので、一個一個ができます。

図-11

ただし、一個一個管理するかどうかというのは、また別の問題です。例えば、このような単品で有効期限があるもの、或いはロット番号やシリアル番号が付いているものは、院内でも追いかけられるようにしています。
危険度の高いもの、高額のものは患者単位、つまりどの患者さんに使ったか、まで登録し、できればロット番号やシリアル番号や有効期限の管理などにも使用します。
一方で、安い医療材料に関して、例えば採尿カップとかは、医療の危険度が低いものが多いので、そのようなものは袋詰めなしています。シリンジとか延長コードというものは、最小単位っていうのを決め、その最小単位ごとに袋詰めをしています。
このように安いものは、ある程度グロスで管理できるようになります。

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