セミナー・インタビュー

自然災害に備える 医療機関におけるBCP・MCP

(BCP: Business continuity Plan 事業継続計画)
(MCP: Medical Continuity Plan 医業継続計画)

更新日:2020/11/25

(写真左より)
株式会社イー・アール・エス 社長  古澤 靖彦 氏
ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(アイテック株式会社 代表取締役)

  豊かな自然にめぐまれた日本。その一方で、地震、津波、噴火、台風など、毎年日本の各地で大きな自然災害を経験しており、その頻度は世界でも有数である。
  特に、こうした災害時に、病院など医療施設は地域住民の「最後の砦」としての期待も大きい。事前の対策は各施設の地域特性や、具体の立地に応じて多様であり、かつその準備の幅は常に経営上の重要な課題だ。

 そうした中で、いかに的確なアセスメントのもとで必要な対策を行うか、長年自然災害のアセスメントから各種サービス提供を行う専門企業、株式会社イー・アール・エス(以下、ERS)の古澤社長に、今回は「医療施設」におけるBCP・MCPの観点で話を聞いた 。 (企業の紹介は最後に掲載)

【出典:左 国土交通省北陸地方整備局、右 [地震]人と防災未来センター】

ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(以下、関) :自然災害全般のアセスメントを、それ専門で扱う会社は珍しいですが、まずはERSのヒストリーや取組みについて伺います。

㈱ERS社長  古澤 靖彦(以下、古澤):およそ20年前、日本で不動産の証券化がはじまったころに、応用地質と鹿島建設の共同出資により、不動産の物理的リスクに係る専門的なエンジニアリング・レポート(ER)を提供する目的のコンサルティング事業がスタートしました。例えば、建物の健全性や土壌汚染の有無、そして震災などのリスクを定量的に評価するニーズが大きかった分野です。ERのニーズは、証券化や投資対象となる事務所ビルや商業施設、あるいは物流施設が主でしたが、近年はESGやSDGsの流れもあり、より広い業種から自然災害対応の必要性が認知され、この対応に向けて足場を広げているところです。

:私たちも病院の土地選定にあたっての各種相談を受け、お応えするケースがよくありますが、気象も含めた自然災害リスク全般をアセスメントできる専門企業の存在は知りませんでした。病院など医療施設での需要もありますが、これまでは、どういった分野の産業のニーズが大きかったのでしょうか。

古澤:不特定多数の客を想定する大型のショッピングモールやオフィスビル、決裁を止められない金融機関、製造業の基幹施設など、自然災害リスクに関するニーズは非常に広範にわたります。件数はまだ多くありませんが、病院も勿論あります。日本各地に展開するショッピングセンターなどでは、全店舗の立地に応じたリスク特性を把握して、発災時の対策を講じているところもあります。

:日本の自然災害対策はこれまで地震が中心でしたが、最近顕著になってきた大雨や台風などの被害は、土地の制約から低層階に発電施設や放射線機器を配置してきた病院など医療施設には大きな課題になってきました。古澤さんから見て、病院のリスクはどう捉えますか?

古澤:住みやすく利便性の高い土地は、比較的平坦な場所が多いですよね。そうした土地の多くは、河川から海に運ばれる土砂が長い年月を経て堆積してできた経緯があります。必然的に、地盤は大規模な地震に際して強固ではありません。また、地殻変動や地盤沈下によって海抜0mを下回る土地も多く、大雨による河川の氾濫、そして津波や高潮に対して脆弱な場所もあります。病院はこうした人の多く集まる街に多いため、金融機関の様に「止められない」前提で考えた場合、多様な自然災害への対策が必要になると思います。

: それでは、病院に限りませんがこうした土地でもリスクを低減する、または今ある場所で適切な対策をとる、としたときに、最も大切な視点は何でしょうか。

古澤: 同じ地域でも少し離れると自然災害の影響度、すなわちハザードが全く異なる場合があります。よって、立地が最も大きな要因であることは間違いありません。これから選ぶ土地でも、既存の施設でも、立地に応じた自然災害のリスク・アセスメントから事業の特性を踏まえた対策を講じていくことが必要になるでしょう。

関:病院や老健施設の場合、実際に災害が起こると患者さんの中には動けない人も多いので「避難」が極めて困難な特徴があります。また、先ほど述べた様に土地や構造上の制約でこれまで低層階に重たい機械設備を配置することが多く、非常用発電装置もその一つです。近年は雨水災害も多くなりましたが、発電設備の浸水で医療機器が止まると危険な患者さんも多い訳です。もう一つ重要な点ですが、施設だけ無事でも病院は機能しませんので、災害時に医療を担う職員のアクセスも併せて考えていく必要があります。

古澤:そうですね。やはり医療施設は、他の施設には無いクリティカルな点が多くあります。実際の発災を想定した対策は、防水板の設置のような施設のハ-ドに係る要件とともに、ソフト面での対応が重要ですね。

関:以前にDMATの小井土雄一先生のお話しをお伺いしたときに、私どもも第三者の視点でできることは無いかな、と考えていました。ERSさんも様々なサービスをお持ちと思いますが、アセスメントについては医療コラボ・プライスでお願いできますか(笑)?医療施設に特徴的な部分の査定や評価の軸は、ご一緒して考える様にしますが、漠然とした災害リスクの不安のなかで対応を迫られている医業経営者は多いと思いますし、これから建替えを控える施設も、立地特性を知ることは重要だと思います。恐らく介護系の施設でも課題だろうと思います。

古澤:すべての自然災害リスクマネジメントの入り口は、立地のハザード評価から始まります。立地に伴うアセスメントは、日本国内であれば公的機関が公開しているハザードデータやなどのデータに基づく定量的な評価レポーティングが可能です。一度にお応えできる件数に限りがありますが、専門家による実地調査を伴わない形であれば、すぐにお返しできるかなと思います。

関:では恐縮ですが、医療施設に的を絞った形でのサービスづくりもお願い致します!

【本事例は複数施設の評価例です】

株式会社イー・アール・エス
1998年、鹿島建設と応用地質の対等出資で設立。 以来、不動産に関わる広範なリスクマネジメントのパイオニアとして、民間企業から自治体、金融機関やファンドまで、様々なクライアントに、エンジニアリングに立脚するサービスを提供。

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