セミナー・インタビュー

高崎 健医師に聞く、中国との医療交流と日本の貢献

更新日:2020/10/1

(写真左より)
東京女子医科大学 名誉教授 高崎 健氏
ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(アイテック株式会社 代表取締役)

 2019年末までに、3,000万人以上の外国人観光客が日本を訪れた。その多くはアジア、特に中国からであるが、日本の医療機関には年間およそ30万人以上の外国人が受診しているとも言われ、医療の国際化が徐々に浸透しつつある。
 なぜ、医療を求めて国境をまたぐのか。そして新型コロナウイルス感染症を踏まえて、今後はどのような展開が待っているのか、日本と中国の医療交流に取り組む高崎健先生に話を聞いた。(略歴は最後に掲載)


日中医療交流について

ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(以下、関) : 高崎先生は中日友好病院の客員教授として、日中の医療交流に大変精力的に取り組まれてきました。まず、その経緯についてお伺いします。

高崎:日中医療交流を行う経緯や私自身の想いについてお話します。中国では同国内の病院のなかで最高位といっても過言ではない、行政府直轄の中日友好病院があります。中日友好病院は、40年以上前に日本の協力で設立されましたが、その設立や当初の運営には東京女子医科大学の元学長である高倉公朋先生が大きく貢献されていました。今でも中日友好病院の歴史の中で一番の功績とされています。この病院の医療レベルの再建に注力したいという思いから、私自身の日中医療交流がはじまり、今日に至ります。

:当社も東京大学医学部教授の時から、高倉公朋先生にはお世話になっておりました。そのような経緯でバトンが高崎先生にも引き継がれていたのですね。


成都市至誠と愛健診センタープロジェクトについて

:当社でもご支援しておりますが、高崎先生と現地企業との共同プロジェクトで日本式健診センターが昨年、中国の成都市でセミオープンしました。新型コロナウイルスの影響でフルオープンに影響が出ておりますが、高崎先生はそこでセンター長に就任されました。今後の課題や展望などについてお聞かせください。

高崎:2014年に習近平国家主席の体制となり、医療改革が進められています。中国ではこれまでの公立総合病院一色の体制から、よりサービス重視への転換を目的にVIP向けの健診センターや民間病院の整備を推奨する政策が出され、現在各所で建設が盛んに行われています。

 そうしたなかで、現地企業(領地グループ)の総裁から声がかかりました。彼は医師ではありませんが、日本の医療の良い点を理解しており、また彼の人の健康に対する想いに共感したことや成都市内の好立地があったことの幸運が重なり、日本式健診センターを整備・運営するプロジェクトがスタートしました。
 
 日本式健診センターを立ち上げるために、コンサルティングではアイテック、設計は伊藤喜三郎建築研究所と協力して基本構想、基本設計をまとめました。昨年の10月にセミオープンを迎えましたが、システムや運用マニュアルはまだ途上ですので多くの課題が残っています。会員制を前提とするため、ブランド構築が必要です。コンシェルジェをはじめ、職員には日本や現地で徹底的な接遇研修を実施しています。健診項目では他との差別化は難しいので、接遇面を含むサービス全体での差別化を目指しています。
 本年9月26日には、中国と日本をオンラインで結び、リモートによるグランドオープンの式典を予定しています。日本からも関係者が出席するほか、日本の伝統芸能を紹介するイベントも企画しています。

:色々と文化の異なる中国での取組みに、皆さんご苦労された話もあろうかと思いますが、まずは成都での日本式健診センターの設立・運営に貢献できて光栄に思います。おめでとうございました。

(写真左)東京女子医科大学 名誉教授 高崎 健氏
(写真右奥)ITEC病院運営研究会 代表 関 丈太郎(アイテック株式会社 代表取締役)
(写真右) アイテック株式会社 執行役員  高橋 淳


今後の取り組みについて

:さて、コロナ禍において日中の人の往来が遮断されています。この状況を踏まえて、今後の日中医療交流の方向性や新たな取り組みについてのお考えをお聞かせください。

高崎:現在は定期的にリモートで成都市にある健診センターへコンサルティングを継続しています。また、日本人医師による健診結果報告のサポートも毎日実施しています。

 中国の医師は、検査項目を増やし、異常値が見つかるとそれを強調する傾向にあります。しかし、健診者は患者ではなく健康人ですので、本来は全身の状態を総合的に診て、生活習慣の改善を助言し、病気を未然に防ぐという考え方が大切です。中国に日本式の健診事業を根付かせるためには、まだまだ時間がかかると思います。 日本でのこうした考え方や取組みは、私の恩師である中山恒明先生が癌の早期発見の必要性を痛感され、中山がん研究所、および我が国最初の定期検診システムとして中山メディカルクラブの構築に始まりました。その後、この取組みは日本における定期検診による癌の早期発見に貢献してきました。私は、その精神を中国へ普及させていきたいと考えています。

:本日は貴重なお話をいただきありがとうございました。また、高崎先生は、米国シカゴに本部のある国際外科学会で、日本人として久しぶりとなる名誉殿堂入りをされたとうかがいました。東京女子医科大学の教授経験者としては、過去に日本心臓血圧研究所の榊原什先生、高崎先生の恩師である消化器病センターの中山恒明先生が名誉殿堂入りされています。大変おめでとうございます。

高崎:ありがとうございます。私が動ける間は自分の学んできたことを広く伝えていきたいと思っています。

【高崎 健先生】
1967年 千葉大学医学部卒業
1968年 東京女子医科大学消化器病センター医療練士研修生として入所
1994年 同主任教授
2000年 同センター長を経て、センター長在任中、総合外来センター建築準備室の室長としてプロジェクトを推進し、2003年 同センターをオープンに導く
2006年 同大学名誉教授
2008年 牛久愛和総合病院院長
2015年 同名誉院長に就任 。日本外科学会、日本消化器外科学会、日本肝胆膵外科学会、日本専門医制評価・認定機構理事、専門医制度委員を併任
2019年 中国四川省成都市至誠と愛健診センター長
2020年 国際外科学会シカゴ本部名誉会員

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